プロの味に近づくひと手間や、食卓がパッと華やぐ盛り付けのコツ、そして「みんなで食べる」空間が、毎日の料理をもっとおいしくしてくれます。
暮らしの中心は、大人数のにぎやかな食卓。 「みんな一緒に」が、何よりのごちそうです。
Aさん邸のLDKは、大人数で集まっても一緒に食卓を囲めるよう特注した大きなダイニングテーブルが主役。プロの料理人としてお店に立つご主人が家族のためにつくるのは、庭の採れたてハーブや親戚が送ってくれた手づくり野菜をたっぷり使ったオリジナルレシピです。
ここで暮らしはじめてから、 僕の料理が変わりました。
Aさん一家は夫婦と子ども4人の6人暮らし。「僕は大家族育ちで、今も兄弟の家族が集まると15人くらいになります。実家では別々の部屋に分かれて食事をするしかなかったけど、新しい家は全員一緒に食卓を囲みたかった」というご主人の要望を聞いた設計士も「ここは料理が主役の家だ」と直感しました。壁際に置いた長いダイニングテーブルは、にぎやかに料理を楽しむ空間をつくるための特注品です。
ご主人はプロの料理人で、休日は家でも腕を振るいます。「男の料理は『自分がつくりたいものをつくる』って感じですが、この家で暮らすようになってからは『今ある食材でできる、家族が喜ぶもの』を真っ先に考えています。中学から料理を続けている僕にとって、大きな変化でしたね」。この日のメニューは、子どもたちが大好きなアクアパッツァとフライドポテト、カブとグリルチキンのエスニックサラダ。奥さまの実家で育てた新鮮な野菜をたっぷり使っています。
アクアパッツァは仕上がりの味がぼやけてしまわないよう、魚にはしっかり下味をつけ、野菜は香ばしく焼いて雑味を飛ばす
「日常的な家庭料理も、ちょっとしたひと手間で仕上がりが変わりますよ」というご主人。鶏もも肉を焼く時は、皮目ではない方に下味をつけ、ラップをせずに冷蔵庫で2~3時間寝かせてから、皮全体がぴったりフライパンに密着するよう広げるのがポイントだそう。「ラップをしないことで皮が乾燥し、パリパリに仕上がります。常温に戻すと水分でゆるんでしまうから、冷蔵庫から出してすぐ焼いてください」。
フライドポテトは、塩ゆでしてから一度冷蔵庫で完全に冷ますというお店と同じ仕込み方。「でんぷんが固まって、揚げても崩れにくくなります」。軽く握って形を整え、フライパンに並べてから冷たい油を注ぎ、庭のローズマリーを一枝入れて低温でじっくりフライ。くしゃっと丸めたオーブンペーパーに乗せれば、見栄えも完璧!おもてなしにもぴったりの一皿です。