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「おいしい時間をつくる場所。」

FORKUL/LIFE STYLE

2024.01.15

プロの味に近づくひと手間や、食卓がパッと華やぐ盛り付けのコツ、そして「みんなで食べる」空間が、毎日の料理をもっとおいしくしてくれます。

暮らしの中心は、大人数のにぎやかな食卓。 「みんな一緒に」が、何よりのごちそうです。

Aさん邸のLDKは、大人数で集まっても一緒に食卓を囲めるよう特注した大きなダイニングテーブルが主役。プロの料理人としてお店に立つご主人が家族のためにつくるのは、庭の採れたてハーブや親戚が送ってくれた手づくり野菜をたっぷり使ったオリジナルレシピです。

ここで暮らしはじめてから、 僕の料理が変わりました。

Aさん一家は夫婦と子ども4人の6人暮らし。「僕は大家族育ちで、今も兄弟の家族が集まると15人くらいになります。実家では別々の部屋に分かれて食事をするしかなかったけど、新しい家は全員一緒に食卓を囲みたかった」というご主人の要望を聞いた設計士も「ここは料理が主役の家だ」と直感しました。壁際に置いた長いダイニングテーブルは、にぎやかに料理を楽しむ空間をつくるための特注品です。

ご主人はプロの料理人で、休日は家でも腕を振るいます。「男の料理は『自分がつくりたいものをつくる』って感じですが、この家で暮らすようになってからは『今ある食材でできる、家族が喜ぶもの』を真っ先に考えています。中学から料理を続けている僕にとって、大きな変化でしたね」。この日のメニューは、子どもたちが大好きなアクアパッツァとフライドポテト、カブとグリルチキンのエスニックサラダ。奥さまの実家で育てた新鮮な野菜をたっぷり使っています。

アクアパッツァは仕上がりの味がぼやけてしまわないよう、魚にはしっかり下味をつけ、野菜は香ばしく焼いて雑味を飛ばす

「日常的な家庭料理も、ちょっとしたひと手間で仕上がりが変わりますよ」というご主人。鶏もも肉を焼く時は、皮目ではない方に下味をつけ、ラップをせずに冷蔵庫で2~3時間寝かせてから、皮全体がぴったりフライパンに密着するよう広げるのがポイントだそう。「ラップをしないことで皮が乾燥し、パリパリに仕上がります。常温に戻すと水分でゆるんでしまうから、冷蔵庫から出してすぐ焼いてください」。

フライドポテトは、塩ゆでしてから一度冷蔵庫で完全に冷ますというお店と同じ仕込み方。「でんぷんが固まって、揚げても崩れにくくなります」。軽く握って形を整え、フライパンに並べてから冷たい油を注ぎ、庭のローズマリーを一枝入れて低温でじっくりフライ。くしゃっと丸めたオーブンペーパーに乗せれば、見栄えも完璧!おもてなしにもぴったりの一皿です。

1階の通り土間にはローズマリーやタイムを植栽、いつでも採れたての風味が楽しめます

ずっと見ていても飽きない、お父さんの手際のよさ。「いつもこうやって並んで覗き込むんですよ」と奥さま

フライパンのまま食卓にドンと置くスタイルは、カジュアルなごちそう感が満点。みんなで食べるから、おいしさもひとしお

コンセプトは「つながり」と「抜け感」 空間が叶えてくれた理想の家族の在り方。

Aさん邸は、隣に建つご主人の実家と2階のバルコニーでつながっています。祖父が「いつか孫が家を建てるかも」と購入した土地で、プライバシーを保ちながらも二世帯の様子が互いにきちんと伝わる空間をつくりたい。そんなAさんの思いが「つなぐ」アイデアに込められています。

難しい施工を叶えるにあたって設計士が採用したのは、それぞれ独立した建物を特殊な部材で連結するエキスパンションジョイントという工法。「家族のコミュニケーションをつなぐ・物語をつなぐ重要な空間を絶対に実現したくて、大阪で非住宅をたくさん手掛けてきたノウハウを生かしました。僕にとっても入社して最初に担当した思い出深い家です」。

Aさんが「いくつか施工会社を回ったけれど、この人に頼みたい!とすぐに思った」という担当設計士とは、今も気軽に連絡を取り合う仲。「食事に招待してもらって、ここで食卓を囲んだこともあります」(設計士)

隣のご実家とつないだバルコニーは広々とした空間に。

母屋とつないだバルコニーは、子どもたちの遊び場。テントを張ったり、プールを置いたり、バーベキューをしたり、いろんな楽しみ方がどんどん見つかります。「ちょっと椅子を出してお昼を食べるだけでも、気分が上がります」と奥さま

なにげない風景から伝わる、家族の仲のよさ。リビングでくつろぐ子どもたちの様子は、キッチンに立っていてもよく見えます

料理が主役のLDKは内装をナチュラルにまとめ、間接照明とダウンライトで料理が一番映える設計に。バルコニーの扉を解放してダイニングとつなげれば、かなりの大人数でも一緒に過ごせる大きな空間になります。

また、家づくりで奥さまが重視したのは、家事の動線と効率。そこで水回りは2階のキッチン奥にまとめ、テラスと直結させました。大家族の洗濯物を無理なく干せる広さのテラスとともに、ガス衣類乾燥機「乾太くん」を導入して家事の時短を実現。「ないと困るくらい活躍しています。おかげで余裕を持って他の家事をこなせます」と奥さまにも好評です。

ガス衣類乾燥機を導入してから、ご主人が洗濯物を担当することも増えたそう

通り土間で母屋とつながり、抜け感のある玄関まわり。玄関脇につくった容量の大きい物置スペースも大活躍

おうちでつくれるおもてなし料理のレシピ教えていただきました!

カブとグリルチキンのエスニック風サラダ

〈材料〉

鶏モモ肉…1枚

(下味)塩コショウ…3g

ローズマリー…1g

カブ・レタスなどお好みの野菜…適量

[ドレッシング]

たまねぎ…1玉

にんにく大…4かけ

ローズマリー…3g

柑橘系(今回はスダチ)絞り汁…35g

ポッカレモン…35g

塩コショウ…3g

ブラックペッパー…1g

濃い口醤油…25g

エキストラヴァージンオリーブオイル…50g

1.鶏肉の皮の水分をキッチンペーパーでしっかり取って、下味用の調味料を皮目ではない方になじませ、ラップをせず冷蔵庫で最低2時間寝かせる

 

2.冷たいフライパンに少量のオリーブ油を引き、冷蔵庫から出してすぐ鶏肉の皮全体をピッタリと押し付けて中火にかける。蓋はせず、油をキッチンペーパーで取り除きながら皮目側で7~8割方火を通し、皮がパリパリになったら裏返して火が通るまで焼く

 

3.カブは皮を剥いて一口大にカットし、オリーブオイルと塩・ブラックペッパー(分量外)で和える

 

4.たまねぎ、にんにく、ローズマリーはみじん切りにし、ドレッシングの調味料と合わせて混ぜる。野菜を盛り付けて鶏肉を乗せ、ドレッシングをかける